「電気回路ノート」の思い出
私が学生のころ、大学2年生だったかな?で「電気回路基礎」という必修科目がありました。そこで使っていた教科書のことをふと思い出したので(電子回路の勉強をしていると、回路の基本的な定理とかは頭の中でよく使っているのです。すると、そういえばあそこで習ったなぁとかいう記憶がよみがえってきます)掘り起こしてみました。

「電気回路ノート」っていう教科書なんですけどね…。当時のやり方としては、半期でガーっと講義が進んで、最後の3回の講義時間で90分制限(60分制限だったかもしれない)のテストを受けて、2回目までで成績上位になればA評価を与える、というシステムでした。大学院に推薦で進みたい学生にとっては2回目までで好成績をとってA評価の数を1個でも増やしたい、という欲望があるので、テストでプレッシャーがかかりすぎて失敗することもありました。かくいう私も1回目でプレッシャーに負けて大問1個芋づる式に間違えて撃沈、2回目でやっとAをとれた思い出があります…。
今は、そんなプレッシャーは感じずにいい仕事ができるように知識を整理しよう!という意識でいるのでさらっと読むことができています。本としては、余計なことが書かれていなくて取り組みやすいのですが、コロナ社の印刷技術の問題なのか?「太線で示した…」というところの太線と細線の区別がほとんどつかなくて、どこのことよ?ってなる点がちょっとマイナスですね。学生の時分私はどうやって読み取ってたんだろう…?(講義で言われた通りに適当に読み取ってたな、これは)
この点は第3章の「回路方程式」のところで顕著なので、イライラしてきたらいったん第4章の基本定理に進んで頭をリフレッシュさせたほうがよろしいかと思います。
第4章「回路における諸定理
電子回路を扱うときにはこの章と第1章の「キルヒホッフの法則」で出てくる定理は必須なので、まずはここから押さえていくことが大事ですかね。トランジスタ回路やオペアンプ回路を設計するとき、まず間違いなく使うのって次の3つくらいなんですよね。知ってれば少なくとも読めるようにはなります。
- キルヒホッフの電流・電圧則(前提としてオームの法則を使っているけど)
- 重ねの理
- テブナンの定理
そんなわけで4章はしっかり押さえよう!なのですが、章末についている演習問題とかが答えしか書いてなくて(ありがち)何でそうなるの?というのが…しょうがないから丁寧に解いてみました。
重ねの理

複数の電流源・電圧源が接続されてる回路があるとき、いったん1個だけ電流源・電圧源を残して、残りは接続されてないものとして計算する、というのをそれぞれの電流源・電圧源に対して行う。その結果を足していけば元の複雑な回路に流れる電流とかが求められる。
ってことなんですが…「接続されてないものとして」が電流源と電圧源で扱い方が異なります。電流源はいかなる時でもその電流を流すことができる電源、ですのでこれがないものとする、ということは単純に回路からぶちっと取ってしまえば(=開放すれば)よいわけです。これに対して電圧源はいかなる時でもその電圧をかけることができる電源、ですのでこれがないものとする、ということは…解放ではないのですね。短絡させることになります(その接点での電圧が0になる=おんなじ電位だよ、ということですので)。
答えしか載ってない演習問題を解く
章末の演習問題の(5)について解いてみましょうか。この問題、本には答えしか載ってないので。下図の回路においてR4に流れる電流を求めよ、というものですが。

まずは電流源を外して考えると(解放)、この回路ってトポロジーを維持して書き換えていくとR1,R3が直列接続、それがR2と並列に接続された後でR4が直列につながってV1に戻る回路になるので、以下のような回路になるわけですね…。ということは、R4に流れる電流を\(i_1\)とすると\(i_1\)は、この回路の合成抵抗を求めて、その合成抵抗に流れる電流ということになりますから

$$i_1 = \frac{6}{\frac{(R1+R3) \times R2}{(R1+R3)+R2}+R4} = \frac{6}{2 + 4}= 1 [A]$$
ですよね…。
今度は電流源だけにした場合は、V1が短絡でいいわけなので、R2とR4の間が短絡されて、R3とR2||R4との直列接続と、R1とが並列に接続される形になります。並列接続されたところは電圧は一緒になるので、R1側を流れる電流を\(i’_1\)、R3側を流れる電流を\(i’_2\)とすると、

$$2 \times i’_1 = (\frac{4 \times 4}{4+4} + 2) \times i’_2 $$
$$ i’_1 + i’_2 = 6 $$
なので、\(i’_2 = 2\)[A]です。
求めたいのはR4を流れる電流なのですが、上記のはR3を流れる電流で、それがR2とR4で分流されるわけですが、運のいいことに(笑)R2とR4の抵抗値が一緒なので、半分って計算しないでも分かります。で、まぁ電流源だけにした場合のR4を流れる電流\(i_2\)は1Aって分かります。
よって、この2つの和が元の回路におけるR4に流れる電流になるので、
\(i_1 + i_2 = 1 + 1 = 2\)[A]ですね!
テブナンの定理

複雑な回路があったとしても、外側から見た時にはシンプルな等価回路とみなして扱うことができるよーという定理

出力がどうなるのか知りたいときに何気なく使ってる定理ですね。
答えしか載ってない問題を解く(パート2)
章末問題の(6)がまた答えだけドーンなので解いてみましょうかね。R3を流れる電流をテブナンの定理を用いて求めよとのことですが…。

テブナンの定理を使おうと思うと、R3と電圧源Vのところを出力に出す形に書き換える必要があります。こうしておいて、まずR3と電圧源を取り除いた時の出力端子1-1’間の電圧を求めると、それがテブナンの定理の等価回路の電圧となります。

R1とR2の合成抵抗が8Ωで、R4とR5の合成抵抗が6Ωですから電流源7Aの分流比は解きやすい値になってますね。R1+R2のほうが\(7 \times \frac{6}{8+6} = 3 \)A, R4+R5のほうが4Aですね。なので、1-1’間の電圧は7Vということになります。(1が\(3 \times 5 = 15\)V, 1’が\(4 \times 2 = 8\)Vなので、15-8=7)
そうしたら今度は電流源をなくして(解放して)1-1’から見た時の回路の合成抵抗を求めると、それがテブナンの定理の等価回路における内部抵抗となります。これは7/2Ωになります。ただの並列の合成抵抗だから…。
ここでようやくR3と電圧源をくっつけて、R3を流れる電流を求めればよいわけですね。単なる直列の電圧源と抵抗だけの計算になるのでやさしいです。\(3 \times \frac{2}{9} = \frac{2}{3}\)Aと求まります。